IR 社外取締役 座談会

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2025年度現在、竹田iPグループは、
経営新体制の始動、本社移転決定、タイ拠点の生産開始など大きな変化の中にあります。
来期2026年度、第一次中期経営計画は最終年度を迎え、第二フェーズへと向かいます。
めざす姿の実現に向けて克服すべき課題、経営の実効性向上のために
果たすべき自身の役割について、4人の社外取締役にお話を伺いました。

  • 山本 光子
    Mitsuko Yamamoto
    主な領域
    人事・人材開発・人材戦力
  • 田中 誠治
    Seiji Tanaka
    主な領域
    監査・会計・税務
  • 高橋 伸夫
    Nobuo Takahashi
    主な領域
    監査・事業戦略・技術開発
  • 青木 恭美
    Kumi Aoki
    主な領域
    法務・リスク管理

■ 社外取締役が見る竹田iPグループの
ガバナンス

タカハシ :

監査等委員として3年間関わってきましたが、社外取締役に対する情報開示は質・量ともに高水準です。リスク情報やネガティブな事象も含め「隠さない姿勢」は、竹田iPホールディングスの実直で誠実な企業文化の表れと捉えています。
例えば公益通報や打ち上り事案については、今期規程を再整備しました。通報は内部監査室に集約され、内容に応じて調査責任者を定め、事実確認を実施する段階で社長に報告がなされて監査等委員が共有する流れです。情報滞留が不祥事を招く例は多いですが、当社グループは情報循環の健全性を担保できていると評価しています。

タナカ :

私も複数社で監査役を務めていますが、情報提供の充実度は群を抜いています。取締役会前には人事・投資案件・重要稟議について背景やリスクまで共有されます。コンプライアンス上の論点についても単なる報告では終わらず、「どう考えるか」を問われます。社外の知見を経営判断に実装しようとする姿勢があります。

ヤマモト :

持株会社移行時に当社取締役に就任し、皆さんより少し在任期間が長い立場から申し上げますと、近年コーポレートガバナンス・コードへの向き合い方も進化しています。スタンダード市場でありながらプライム市場水準を意識した開示・体制整備を志向している点から、経営陣の高い視座がうかがえます。こうした制度対応にとどまらず、現場の声を取り入れ組織文化そのものを変えようとしている点も印象的です。

アオキ :

私は今期初めて社外取締役を拝命しました。法務の視点から見ても、内部統制は適切に機能しており、必要な情報も適時に共有されています。私たち社外取締役が時に踏み込んだ意見を申し上げることもありますが、経営陣はそれらを真摯に受け止め、建設的に議論を重ねています。こうした誠実さと柔軟さを兼ね備えた企業文化は、長期的に大きな価値を生み出すものと考えています。

■ 戦略ポートフォリオという競争優位

ヤマモト :

当社グループを事業経営という点で見ますと、祖業は印刷業でありながら、同事業に依存しないポートフォリオを構築している点が明確な強みです。当社の半導体関連マスク事業も、印刷工程にある製版技術を起点として発展してきたと承知しています。無秩序な多角化ではない点に経営の一貫性がうかがえます。

タナカ :

日本屈指の半導体関連マスクメーカーである東京プロセスサービスのM&Aは、10年以上前の判断が今や収益の柱となった好例ですね。長期視点の意思決定が結実しています。

■ 今後の課題①「ホールディングス2.0へ」

タカハシ :

ホールディングス化から3年、制度設計や内部統制の整備は相応の完成度に達していると見ています。次は持株会社体制を管理装置から価値創造装置へと進化させる段階でしょうか。ポートフォリオの意図、資本配分の考え方、リターンの時間軸といった戦略ロジックを、経営層だけでなくマネジメント層にも共有するフェーズに入るでしょう。

タナカ :

持株会社体制は多くの経営資源を要します。それでも採用したのは、資本効率の最適化と機動的な事業再編のためでしょう。竹田iPホールディングスが資本配分の司令塔であるという思想を改めて共有することが重要です。

■ 今後の課題②「グループ・アイデンティティの形成」

ヤマモト :

グループとしての一体感の醸成はこれから加速させていきたいですね。横断型プロジェクトや人材交流を通じて戦略を「自分ごと」にしていく設計が求められます。次世代幹部向けのグループ横断型の育成や戦略ワークショップを実施し、世代間や事業間のギャップを埋める必要があります。

アオキ :

人に関しては、ホールディングスはグループの戦略を翻訳し各社に実装する「ハブ」の役割ですから、それに見合う人員体制の整備も今後のテーマかもしれません。

ヤマモト :

この2年間で、事業への投資だけでなく人材への投資の考え方も変わってきたと感じています。今後も、人事ローテーションや女性や若手の積極的な登用といった取り組みを進めれば、会社の将来性や持続可能性を社内外に示す結果につながります。

タカハシ :

200年企業を志向するためにもサクセッションは最重要課題です。候補者プールの明確化、スキルマトリクスとの整合、定期レビュー体制など。監査等委員も議決権を持つ取締役として、戦略や後継者計画に責任を負う立場を意識して議論に参画していきたいと思います。

■ 竹田iPグループへの期待と展望

アオキ :

当社グループの今後について考えたとき、企業価値の一つである株価は、重要ですがあくまで結果指標です。本質は、どの社会課題にどう向き合い、どのような技術や人材という無形資産を積み上げるのかという全体像。そのストーリーに社内外からの共感が積み重なり、帰結として評価が高まる順序が健全かなと考えます。

タカハシ :

同時に、資本コストを意識しながら、理念を将来キャッシュフローに結び付けることが経営の前提です。事業別KPIや投資成果、人的・知的資産と財務指標の連動を可視化など。中計を現場に浸透させることが出発点となりますね。加えて、iPおよび竹田印刷と、他のグループ各社の制度や意識の差異を高水準に整え、コンプライアンスとガバナンスを軸に情報連携を強化することが、「ホールディングス2.0」を実現する鍵かと思います。

ヤマモト :

竹田iPグループは、すでに中国、タイ、ベトナムへと海外に事業展開しています。今後は一層のガバナンス強化が求められます。海外戦略や人材育成、法律・税制の対応においては、専門人材を活用し、内部の体制を整えた上での成長が期待されます。

タナカ :

ガバナンスは統制ではなく、持続的成長を支える対話のしくみでもあります。本日の対談で語られた「ホールディングス2.0」とは、戦略・資本・人材を一体で設計し続ける経営への進化を意味します。今後はその実効性を高めていくことがテーマになるのではないでしょうか。私たち社外取締役も、長期的視点の問いを投げ続けていきたいですね。

アオキ :

それから、本日社外取締役の間で一致したのは、私たちの側が当社に対する理解を一層深めていく必要があるという認識でしたよね。実効性ある監督機能を果たすためには、事業構造やリスク要因を含め企業価値をより多面的に把握するために、まず私たちが謙虚に学ばなければならない、と。

ヤマモト :

木全会長および細野社長からは「経営を厳正に監督してほしい。厳しい指摘も歓迎する」との明確なメッセージをいただいていますが、私たちの役割は、経営に対峙するのではなく健全な緊張関係を保ちながらその質を高めることにあります。竹田iPグループの企業価値向上に向けて、独立した立場から誠実に向き合い、経営と伴走することで貢献を果たしてまいります。